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自分たちの主張の裏付けとして引用した古典の記述の解釈にも明らかな情報操作が行われていた。

「除…熱」

番組では、本草綱目(漢方の最も重要な薬学書)の中の一文を紹介しながら、「乾姜(かんきょう)は寒冷腹痛を止め、中(ちゅう)[消化器:筆者註]を温める作用があるが、生姜(しょうきょう)には解熱作用がある。両者は全く別物だった。」と言う解説がなされる。それに対して、司会の志の輔は「真逆なんですか!」と驚いて見せる。

それは全くの勘違いであるにも関わらず、誰もそのことを訂正しなかったのである。

生姜(しょうきょう)は「生のショウガ」、乾姜(かんきょう)は「ショウガを乾かしたもの」である(ただし、「生のショウガを乾かしたもの」すなわち乾生姜を「生姜(しょうきょう)」と呼んだり、「蒸したショウガを乾かしたもの」を乾姜(かんきょう)と呼ぶこともある)。

いずれにせよ、同じショウガが原料である。確かに、乾姜(かんきょう)の方が生姜(しょうきょう)よりも温める力は強いとされているが、基本的な作用はほぼ同じであり、決して「真逆」なのではない。

生姜(しょうきょう)について記した本草綱目の原文をもう一度よく読んでみよう。そこには、次のように記述されている。

除風邪寒熱

これは、「風邪(ふうじゃ)と寒熱〔の偏り〕を取り除く」つまり、「風邪を治し、血の滞りから生じる熱の滞りを解消する」という意味である。

だが、番組では、「除」と「熱」の二つの文字を赤丸で囲み、あたかも「熱を除く」(解熱)が生姜(しょうきょう)の作用であるかのような錯覚を抱かせていたのである。

ショウガには、体を温める、(温めることで)発汗を促す、血流を促進する、胃腸の働きを整える、といった多彩な作用によって「寒邪」を追い出し主として表寒証の風邪の治癒を促す働きがある。その結果として解熱がもたらされることはある。だが、それはあくまで間接的な効果であり、本草綱目に「解熱作用がある」と記載されているというのは間違いである。

「ためしてガッテン」のホームページでは、「生のショウガには解熱作用がある」以外の発言は文章化されていない。さすがに嘘八百を文字に残すことは気がひけたのか、あるいは放送された情報操作の証拠を残さないためであろうか。興味のある方は、以下のサイトにて確かめてもらいたい。

http://cgi4.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20100825

「ためしてガッテン」は、情報操作はどのようにして行われるかについての典型的なパターンの一つを私たちに教えてくれる。

それは、自分に都合のいい情報の一部だけを取り出してそれを繋ぎ合わせて編集し、そこに真実とかけ離れた新しい解釈をつけ加える。そのことで、あたかも自分が提示した解釈こそが真実であると相手に思い込ませるのである。

そして、恐ろしいことに、この「ためしてガッテン」の放送内容を鵜呑みにした視聴者が、ブログなどでこれらの間違った知識を複製している。「生のショウガは体を冷やすので冷え症には効果がない」という間違った知識が日本中に広まってしまったようである。誠に公共放送の責任は重いと言うべきであろう。
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